生物圏とはなにか?
例えば、Wikipediaでは、生物圏について次のように語られています。
地球科学では地球の表層領域を水圏、大気圏、岩石圏に区分する。生物圏はこれらの領域に重なり、地表や地中のみならず、大気圏、水圏に広がる。生物と非生物の相互作用で成り立っている環境の系を生態系と呼ぶが、生物圏とは地球環境全領域に広がる生態系の総体、及びそれが占める範囲とも定義でるきる
引用元:生物圏ーwikipedia
私も、生物圏の定義としてこれを参考にしています。
生物圏の説明については土田氏も参考にしました。
図では、生物の相互関係と、それらを取り巻く自然環境の関係が示され、生物の存在し得る領域を緑の破線で生物圏と表しています。
生物は、緑色植物の光合成による太陽エネルギーの化学エネルギーへの変換、岩石の風化、海洋及び地表付近における有機物の生成と分解、体内への微量元素の濃縮、蓄積など、地球上でのエネルギー及び物質循環に大きく関わっていることが示されている。石油、石炭、天然ガスなどのエネルギー資源は勿論のこと、リン鉱、石灰石、一部の鉄鉱石なども、過去の生物活動の遺産にはかならない。逆に生物の状態や活動は、環境によって強く影響を受ける。
引用元:土田直一『土壌および生物の元素組成のバックグラウンド象』
これらの関係性を眺め、ふと日常に広がる自然の営みに目を向けたとき、生命が地球で生きていくうえで、いかに地球と上手に付き合っているのか、その完成度の高さに息を吞みます。
また、何者の意図も無しに、これらの営みが存在しているのだとするならば、これほどまでに可能性に満ち溢れた世界も存在しえ無いのではないかと感動も覚えるのです。
人工生物圏(Artificial Biosphere)を考える
「生物圏」と類似する言葉に「生態系」があります。
Artificial Biosphere を「人工生態系」と「人工生物圏」どちらの日本語読みで呼ぼうか考えたのですが、総括的かつ壮大なイメージを持つ生物圏の方を逆説的に採用することにしまいた。
それは、個々のあらゆるものは、あらゆる関わりの中で全てのものと繋がっていると考えているからです。また、その意識が重要と考えています。
人工生物圏研究所は、この万物を包括したイメージを持って人工的に生物圏を再現し、究極的な循環システムを構築することを目指しています。
一方では、究極的な循環とはなにか?という問が生まれます。
究極的な循環とは、地球の生物圏そのものとも言えるでしょう。地球は、破壊と再生の循環を生物圏として構築し、太陽エネルギーを受け取る以外、自身の素材を取り替えることなく、地球上に誕生した生命をおよそ38億年の長きにわたり存在させ続けているからです。
これを技術として確立できるならば、テラフォーミング(惑星移住)も可能と言えるでしょう。
「人工生物圏研究所」の活動は、個人的かつ家庭内の非常に狭い世界からスタートする活動です。
その意味で「人工生物圏」と謳うことは、あまりに壮大な話をしていることになるわけですが、そこに、逆説的な魅力が生まれると考えています。
そもそも、少なくとも家庭内の小さな空間を舞台に作り上げる人工生物圏は、その空間のみで究極的な循環を実現させれえないと考えているからです。
天候に左右される環境、失われる水と給水、飛来する来訪者達、収穫分の失われる栄養素と追肥の有無、プランターや木製台に様々な備品の劣化と再調達、etc…
そもそも家庭レベルの人工生物圏に関わる私自身が家庭のみの空間で生活している訳ではない!
つまり、少なくとも家庭レベルの小さな世界で作り上げる人工生物圏は、外の世界無くしてその環境を維持させることは不可能と言えるのです。
しかし、裏を返せば、究極的な循環を突き詰めていくことで、その意識は人工生物圏の外へも積極的に向かうことになると考えています。
また、食べ物を作ることもミソです。
食べ物を作るということは、生産現場となる人工生物圏の環境維持に関わるあらゆる「モノ」の出自、安全性など、その正当性に自ずと意識が向かうと考えられるからです。
結果、人工生物圏を管理する当事者自身が、外の環境、社会に対してもどのように向き合い行動すべきかが自ずと見えてくるのではないか?
そこに魅力を感じます。
つまり、人工生物圏構築による持続的な循環システムの確立は、家庭内のドメスティックな空間内の関係性のみを考えるのではなく、そこに関わる外部性も含め、全体の繋がりを把握することで達成できると考えています。
人工生物圏を定義する
よって、ここで定義する人工生物圏とは、地球の生物圏を人工的に再現した空間と関係性の総体としました。
言うても当面はプランター菜園に毛の生えた程度からのスタートですが(笑)
あれこれぶつかりながら、苦悩しながら、楽しんでシステム完成を目指したいと考えています。
人工生物圏の世界観や動機的背景については、Part2としてまとめました。人工生物圏を考える(Part2)世界観の構築とキーワードとしての『モノの評価』人工生物圏研究所としてイメージする「人工生物圏」を取り巻く世界観を図にしてみました。
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