淡水ビオトープの実情と冬越しの失敗事例

淡水ビオトープ 淡水水圏

ベランダでの小さな地球作りに取り組む前から行っていた育成実験があります。2020年6月21日より、玄関口の軒下で始めた淡水の無換水水槽です。現時点(2022年6月2日)で3年目を迎えようとしています。

そんな、軒下で行っている淡水無換水水槽の概要と育成状況についてご紹介します。

ビオトープ水槽

水槽の構造としては、アクアリウムの世界でビオトープと呼ばれている方式に似ていると考えています。

淡水ビオトープ

ビオトープとは

ビオトープについて、Wikipediaでは次のように紹介されています。

ビオトープ(独:Biotop)は生物群集の生息空間を示す言葉である。日本語に訳す場合は生物空間生物生息空間とされる。語源はギリシャ語からの造語(bio(命) +topos(場所)。転じて、生物が住みやすいように環境を改変することを指すこともある。

――――ビオトープとは生物の生息場所を意味するドイツ生まれの概念である。ビオトープは生物学の用語であるが、ドイツ連邦自然保護局ではビオトープを「有機的に結びついた生物群。すなわち生物社会(一定の組み合わせの種によって構成される生物群集)の生息空間」と位置づけている。別の表現をするならば「周辺地域から明確に区分できる性質を持った生息環境の地理的最小単位」であり、生態系とはこの点で区別される。つまり、ビオトープ(環境)とその中で生息する生物群集(中身)によって、生態系は構成されていると言うこともできる。

引用元:ビオトープ ‐ Wikipedia

日本では、アクアリウムやガーデニング、河川工事などで、水辺の生態系を人工的に再現した空間をビオトープと呼んでいるイメージです。

ビオトープそのものの意味としては、「生物群集が生息できる空間」と考えてよさそうです。

一方、アクアリウムの世界で使われるビオトープという言葉は、淡水性の水草や魚などを再現した人工的な生息空間を用意し、機械的な濾過設備や照明などを使用せず、季節や天候の影響を受ける自然の状態で屋外飼育することを指しているように感じます。

Mauerが軒先で行っている水槽も、アクアリウムで定義されるビオトープと同等といえるため、ここでもビオトープと呼ぶことにしました。

水槽の構造

水槽は睡蓮鉢タイプの水槽です。写真より、白(左)と黒(右)の二つを使用しています。2020年6月21日に白から始め、黒は7月10日に追加しました。

主な材料は次の通りです。

①水槽:23L睡蓮鉢
   外寸:直径44×高さ25cm、底部直径29cm
   内寸:直径41.5×高さ24cm、底部直径28cm
②底砂:ブラックソイル
③その他:水草を植える鉢

至ってシンプルな構造で、水槽の底砂にブラックソイルを敷き詰め、一日貯めおきした水道水を入れて水草や魚、エビ、貝を入れて飼育しているだけです。

育成品種と生育状況

育成生物は一般的に次の通りです。意図して入れ、現在残っている品種から、除去、消滅した生体まで、確認できている品種の一覧となります。

魚類:メダカ(ヒメダカ、白メダカ、紅白メダカ)

メダカ類は、種類としては全て残っているのですが、20匹ほど残っていた紅白メダカが、後述する冬越し中の失敗により激減し、3匹になってしまいます。

なお、紅白メダカに関しては、2021年の春から夏に掛けては、産卵させて稚魚を増やしていました。おすそ分けなどしながら、手元に残していた紅白メダカを太らせ、冬越しに備えたのですが、多くを失う残念な結果となってしまいました。

甲殻類:ミナミヌマエビ、ヨコエビ

ミナミヌマエビは購入、ヨコエビは水草や睡蓮などについて入ってきたものですが、両者ともカウント不能なほど増えていますが、一定のラインで個体数は落ち着いているように見えます。

貝類:巻貝(スネール系)

水草について入ってきたものですが、言わずもがなでよく増えていますが、こちらもある程度のラインで個体数は落ち着いているように見えます。

水草:睡蓮(熱帯睡蓮、温帯睡蓮)、シラサキカヤツリ、ロタラ、南米ウィローモス、オオカナダモ、マツモ、ホテイアオイ、アオウキクサ

現状として残っているのは、温帯睡蓮、ロタラ、南米ウィローモス、オオカナダモ、アオウキクサです。シラサキヤツリに関しては、冬越し後の新芽がまだ伸びきっていないため、生存が確証できておらず、様子見の状態です。

水質環境

水質環境の維持こそ、Mauerが最も関心を寄せる所でもあるのですが、こちらに関しては、ビオトープを始めてから現在まで、一度も水換えすることなく大変良好な環境を保っています。

3~6ヶ月に一度程度の検査結果ですが、以下の水質項目は基本的に良い状態を維持できています。

検出限界以下だった項目:
NH4(アンモニア)=Under(0.5㎎/L以下)、NO2(亜硝酸)=Under(0.5㎎/L以下)、NO3(硝酸)=0mg/L(10㎎/L以下)、PO4(リン酸)=0mg/L(0.1㎎/L以下)

水を動かす装置や酸素を送る装置は入れていないし、ほぼ放置状態であるため、本当に水質が維持できるのか半信半疑で始めていましたが、驚くほど容易に維持が出来ている状態です。

むしろ、水槽内に棲息する生物が一定数で自動的に安定しているようにも見えて大変興味深いです。

冬越しの失敗事例

育成している種は基本的に日本の冬に堪えらえる種です。(熱帯睡蓮は別ですが、、、)

新潟の冬は厳しく、2020年及び2021年の冬は良く雪が降り積もり、ビオトープ水槽の水面も雪で覆われ、凍ることもありました。

黒色の睡蓮鉢では、紅白メダカと睡蓮を育てていたのでが、凍結死を心配して、雪国特有の玄関フード二重玄関の空間に避難させていました。

この玄関フードは、外に比べらは温かく、水面が凍ることはありませんでした。

そんな風に対策を考えたりもしたのですが、これにより失敗を招くことになりました。

メダカの斃死例

まずは、メダカです。

玄関フードに避難されることになった紅白メダカですが、20匹ほどいた紅白メダカが3月を迎えるころに1匹になっていました(涙)。

生存していたメダカも酷く痩せていました。

メダカは冬の間は冬眠状態となり、餌を食べませんが、日中の間は、温かくなる玄関フード内で、メダカの冬眠が覚めるなどして代謝が起きるようになり、痩せて死んでいったのではないかと考えています。

一方の外に置いたままにしたメダカは、水面が凍ろうが生存し、雪解け後に見ても太っていました。

低温(氷漬け?)による植物の失敗例

2020年の最初の冬で失敗したのは、熱帯睡蓮でした。品種の管理の仕方を分からず、水槽に入れたままにしていたのがダメで、株を枯れさせてしまいました。

熱帯睡蓮は、株を取り出し、室内などで保存しておく必要があるよです。これは知識不足でした。

そこで日本の冬を越せるという温帯睡蓮を入れました。こちらは2021年の冬を無事に越すことが出来ました。

ただし、これは玄関フードに入れたおかげである可能性もあります。メダカはダメでしたが、睡蓮には良かった。。「あちらが立てば、こちらが立たず」の状態ですね。

それぞれの生体に応じた対応に注意を払う必要がありそうです。

失敗したのが検証中なのが、シラサキカヤツリです。こちらは、雪が多かった2020年の冬を越すことが出来、5月末には新しい新芽が沢山伸びてきましたが、2021年の冬を越した現在、新芽らしきものが6月1日にやっと確認出来たレベルで、本当にシラサキカヤツリの葉なのか確証が持てていない所です。

シラサキカヤツリの新芽であるのか成長を見守っている所です。

おわりに(モナコ式への改良へ)

失敗もありながらの育成ですが、このビオトープが、後の海水の無換水水槽やベランダでの小さな地球作りへと繋がっていく最初の取り組みでもありました。

今回の冬越しの失敗をきっかけにして、黒色の睡蓮鉢は、やってみたっかた淡水のモナコ式タイプへの改造を行いました。

次回は、モナコ式への改造内容についてご紹介します。

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