MBS構築中の我が家のベランダ菜園スペースですが、ベランダ特有の目隠しパネルにより、床から高さ1.1mの範囲内は日が当たりにくいため、専用棚を自作して上段を中心にベランダ菜園を行っています。
一方、専用棚の1段目は、目隠しパネルと上段のプランターが作る陰によっって、さらに日当たりが悪くなり、日照時間が1、2時間と極端に少なくなってしまいました。しかし、どうにか1段目を有効利用できないかと葉物野菜の育成を試みることにしました。
結果、一段目での環境下では、時間を掛けても十分に成長させる事が出来ず、最終的には、異常が発生し、まともに成長できないまま枯らしてしまうこともありました。
日陰に強い品種を選ぶようにはしましたが、日照時間1、2時間と、極端に少ない環境下では、まともに育てられないようです。
前記事の『ミックスサラダを育てて』でも触れていますが、ここでは、その失敗についてまとめつつ、1段目の有効な利用方法として見いだせた希望についてもふれていきたいと思います。
植物と光の関係
植物の生理作用の基本中の基本ですが、植物は太陽からの光エネルギーを利用して『光合成』を行い、自ら生きていくために必要な有機物を作り出すことが出来ます。
この光合成が行われる場所は、葉を中心とした細胞内に存在する『葉緑体』です。要するに植物の緑色をしている所は、葉に限らず、緑色であれば茎や実にも葉緑体が存在することになります。
葉緑体は、太陽からの光エネルギーを受け取り、二酸化炭素と水を原料にして『光合成』を行うことで、デンプンなどの有機物を作り出し、酸素を排出します。
そして、光合成によって作り出された有機物を、根から吸収した窒素(N)や各種ミネラルなどと結合させることで、タンパク質を作り、体を作る材料などとして利用します。
また、根からの吸収作用や体を作るための代謝に使用するエネルギーもまた、光合成によって作り出された有機物を生化学的に燃焼させることで取り出されます。この有機物からエネルギーを取り出すところが、細胞内小器官の一つである『ミトコンドリア』になります。
要するに、植物は光無くしては、生命活動を維持できないということが分かるわけですが、今回はこれをまざまざと思い知らされることになりました。
選んだ品種と結果
サラダミックス(ベビーリーフ)
(株)グリーンフィールドプロジェクトさんの固定種『サラダミックス』です。
- 原産国:ヨーロッパ
- 内容:3.3g
- 発芽率:70%以上
詳細の生育内容については、前記事の通りですが、結果的に、最も成功したのはこのベビーリーフだったのかもしれません。
ベビーリーフを育てる~日向と日陰の生育~ | 人工生物圏研究所|Artificial Biosphere Laboratory
種まきから3日目で発芽でしたが、日陰で育てた場合は、次の写真の通り、1ヶ月掛けても最初の本葉が5、6cmになるのが限界でした。
日光を受けて育てたものと比べ、苦みや辛みなどの癖が少なく、葉も柔らかいため子供でも問題なくサラダとして食べられました。
一方、癖の無い葉になっただけあって、その後は、アオムシの食害を受けてボロボロになり、一度の収穫で終了となりました。
青じそ
福花園(株)さんの固定種『青しそ』です。
- 原産国:岐阜県
- 内容:10mL
- 発芽率:75%以上
ベビーリーフと同じプランター内に種まきしました。4日目に発芽します。
本葉が出ますが、1ヶ月たっても次の写真の通りの成長で、葉の色が薄くなり、成長が止まったようになりました。
その後、枯れるものも出てきたため、断念。日照条件の良い、2段目に移動させて成長させることにしました。光の下では、当然ながら順調に成長し、今は、納豆やそうめんの薬味などとして収穫しています。
三ッ葉
福花園(株)さんの固定種『三ッ葉』です。
- 原産国:中国
- 内容:10mL
- 発芽率:70%以上
堆肥場専用ミミズコンポストに種まきし、4日後に発芽しました。
種蒔きから1ヶ月かけて最初の本葉が、三ッ葉らしい葉に成長しました。
この時、間引き収穫をおこない、親子丼の薬味として頂きました。
しかし、その後は、これ以上成長できず。殆どを枯らしてしまいます。
現在、1株残っています。間もなく3ヶ月目に入ろうとしていますが、ご覧の通りの小ささです。
ウォーターレタス(クレソン)
タキイ種苗(株)さんの『ウォーターレタス』です。
- 原産国:デンマーク
- 内容:0.5mL
- 発芽率:60%以上
こちらは、水圏プランターに設置した半浸水の栽培用プランターに種まきを行いました。
水圏プランターの設置場所は特に日照時間が悪く、限られた範囲にのみ、1時間程度だけ光が差します。
9日目に発芽しますが、1ヶ月経過しても成長出来ず枯れ始めました。
水圏プランター上での育成を断念し、メダカの稚魚をふ化させている無換水水槽にプランターを用意して植え替えることにしました。
現状、植え替えてから1ヶ月半が経過しました。植え替えた場所は日照4、5時間の半日陰となります。夏の暑さも相まって、成長は遅い気もしていますが、ゆっくりではあっても順調に成長しているようなのでみ守っています。
株植え(イタリアンパセリとニラ)
テストとして分けてもらったイタリアンパセリとニラの株です。
こちらは、三ッ葉をまいた堆肥場専用ミミズコンポストに移植しました。
ニラは、現状生き残っていますが、葉が成長した様子はありません。一方のイタリアンパセリは花が咲くまでは成長しましたが、葉の量が増えず、すでに枯れてしまいました。
新たな希望
日陰に強いと呼ばれる品種でも、日照時間が少なすぎれば光合成が出来ずにまともに成長出来ないことがよく分かりました。
今後は、堆肥場専用ミミズコンポストのみを残して、試験的に再挑戦していきたいと考えていますが、やはり日光を浴びて健康的に育った野菜を食べたほうが美味しい気もしますね。
一方で興味深かったのが水中の水草です。
タナゴやエビを入れている水圏プランター内に、ダメもとで南米原産の品種である『ウイローモス』を入れていたのですが、最も日照時間が少ない場所であるにも関わらず、枯れることなく増えていました。
水草の中には、こんなにも日陰に強い品種がいるのだと驚いた訳ですが、これを希望にベランダ菜園の専用棚1段目は、水圏再現をメインに展開していこうかと考えている所です。
今後は、海水環境も準備して海藻なども生育可能なのか試していきたいと考えています。
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