改良型モナコ式水槽の育成状況~植物プランクトンの大繁殖~

海水水圏

気がつけば、8月4日の時点で、改良型モナコ式に変更してからまる2年が経過した無換水水槽ですが、先々週の8月11日頃より、室内の無換水水槽の水面に植物プランクトンが蔓延る様になりました。

基本的には、栄養があるからこその繁殖であることは間違いないでしょう。

植物プランクトンは無換水よる育成環境を考えていく上で重要な指標になると考えている所です。

そんな、植物プランクトンの繁殖具合と課題についてご紹介します。

水面が緑色になるほどの繁殖状況と顕微鏡写真

植物プランクトン大繁殖

繁殖状況

先々週の8月11日頃より水槽水面に植物プランクトンが蔓延る様になりました。

ベランダの海水ビオトープ水槽からイソスジエビを移動させたときに、植物プランクトンを紛れ込ませてしまったようです。

水面が緑色の薄い膜を張った様な状態になっています。

8月24日今日現在も状況は変わりありません。

植物プランクトンの回収

ここ最近の日課は、夕方の植物プランクトン回収となっています。

LEDライトが点灯している間に増殖した植物プランクトンを、キッチンペーパーを使って回収します。

2枚重ねになっているキッチンペーパーを分け、水面に浮かべます。

浮かべたキッチンペーパーを引き上げることで、植物プランクトンを吸着回収します。

そのまま、キッチンペーパーを丸めながら絞ることで余計な水分(海水)を水槽へ戻し、植物プランクトンだけを回収します。

植物プランクトンたっぷりな緑色の紙団子が完成します。

これを2~3回行って、その日に増えた植物プランクトンを回収しています。

植物プランクトンの種類

顕微鏡で調べたところ、大きくは2種類増殖している様子です。

最も優勢的に蔓延り、目立つのは、クロレラ(ナンノクロロプシス)のような緑色の植物プランクトンですが、おもちゃの顕微鏡では解像度が悪く、良く分かりません。。。複雑な形はしていないため、単細胞藻類の一種ではないかと考えています。

その中に紛れて、少し見られたのが細長い形の褐色系の植物プランクトンです。写真では解像度が悪いですが、形としては、ケントリトラクツス系に似ていました。

過去、改良前のモナコ式水槽でも植物プランクトンが増殖することはありましたが、この時は、顕微鏡越しに動き回るのが観察出来る褐藻系の渦鞭毛藻類でした。

渦鞭毛藻類が発生したことの過去の記事
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水質環境

植物プランクトンが増殖する重要な条件は、やはり栄養です。

水質検査をしたところ、リン酸を0.25~0.5mg/Lの範囲内で検出しました。

硝酸については、所有している簡易水質試薬では未検出ですが、こちらは検出限界値が10mg/Lであるため、恐らくリン酸と同程度か、それ以上の1~2mg/Lは検出されるのではないかと考えている所です。

植物プランクトンに取って必要な窒素とリン酸があるからこそ増えているのだと考えられます。

飼育環境への影響と育成密度を考える

植物プランクトン繁殖による影響

水質の状況から見ると、飼育生物的には問題無いレベルと考えています。

ましてや、陸上養殖などの飼育環境から考えれば、硝酸やリン酸は無いに等しいレベルです。

現状の水槽環境から見て、植物プランクトンが水面に繁殖することによる一番の悪影響は、水槽内の海藻やサンゴへの光量が落ちてしまうことだと考えています。

その意味では、回収を続ける必要がありそうです。

育成密度を考える

植物プランクトンが増えると言うことは、それだけ栄養があると言うことです。

その栄養源は、育成生物と餌に他なりません。

現状から考えると、これ以上の栄養負荷を避けるために、生体は増やせないし、むしろ減らすことがベストなのでしょう。

ひとまずは、栄養塩が水中に残っている状況から考えれば、現状の育成密度及び給餌量が、この水槽での限界密度を物語っていることは分かりました。

現状の水槽内の育成密度(生体の種類と匹数)については、過去の記事で紹介しています。生体数に変動はありますが、概ね変わっていません。

育成密度に関する過去の記事
改良型モナコ式水槽の育成状況~育成密度の限界はどこか?~
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今後について

水質環境としては、夏前から変わらない状態です。ここに、ベランダからの植物プランクトンの侵入によって繁殖が始まったと言えます。上手くいけば水槽内の栄養塩回収です。

最近は動物プランクトン(コペポーダ類)の量も増えてきました。

水槽内環境の変化が面白いため、生体は増やさず、また、意図して減らすこともしないまま、どのように変化していくのか、もうしばらく様子を見ていきたいと考えています。

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