モナコ式水槽の育成結果の締めくくりとして、魚や甲殻類、貝、サンゴそして海藻など、実際に育成した生体の生存状況の実際についてご紹介していきます。
品種一覧
実際に育成を行った生体の主な品種は次の通りです。大まかに見ても34種が、小さなモナコ式水槽の中で生きていました。
魚類
魚類は、水槽内の主役的立ち位置です。最も育成を行ってみたかったのが共生を行うハゼとエビです。共生ハゼとエビを中心にして、混遊させる品種を選んでいきました。
なお、終了時の生存状況については、育成を終了した2020年8月4日時点の状況です。
●スタート時
ニチリンダテハゼ(共生ハゼ)×1匹、ハタタテハゼ×1匹、キイロサンゴハゼ×1匹
●追加受け入れ①(キイロサンゴハゼの衰弱死により)
ヤエヤマギンポ×1匹
●追加受け入れ②(ハタタテハゼの事故死により)
カクレクマノミ×1匹、マンジュウイシモチ×3
●終了時の生存状況
生存:ニチリンダテハゼ×1匹、ヤエヤマギンポ×1匹、マンジュウイシモチ×2
斃死:キイロサンゴハゼ×1匹、ハタタテハゼ×1匹、マンジュウイシモチ×1匹
甲殻類
共生ハゼがいるなら相方のエビを受け入れるのは必然ですが、その他に、水槽内のコケや残餌の掃除屋として他のエビやヤドカリも受け入れました。
●スタート時
ニシキテッポウエビ(共生エビ)×1匹、イソギンチャクモエビ×3匹、ヤドカリ×3匹
●追加受け入れ①
キンチャクガニ×1匹(可愛いから)
●終了時の生存状況
生存:ニシキテッポウエビ×1匹、ヤドカリ×2匹、キンチャクガニ×1匹
斃死:イソギンチャクモエビ×3匹
貝類
主に、水槽内で発生するコケ・藻類や残餌の掃除屋として選んでいきました。
●スタート時
カノコ貝×3匹、ムシロガイ×1匹、ヨウバイ×2匹
●追加受け入れ①
タラガイ×5匹(ヒゲ状藻類の大発生対処のため)
●追加受け入れ②
マガキガイ×1匹(砂利の掃除)
●終了時の生存状況
生存:カノコ貝×3匹、ムシロガイ×1匹、タカラガイ×5匹、マガキガイ×1匹
斃死:ヨウバイ×2匹
サンゴ類
水槽内の生物種を増やす目的と、レイアウトを華やかにするために受け入れました。
●スタート時
ウミキノコ×1匹、ディスクコーラル(グリーン系)×1個、マメスナ×1群、スターポリプ×1群、ツツミウミズタ×1群
●追加受け入れ①(ツツミウミヅタの消滅後)
ディスクコーラル群(ブルー系)×1個
●終了時の生存状況
生存:ウミキノコ×1匹、ディスクコーラル(グリーン系)×1個、マメスナ×1群、スターポリプ×1群、ディスクコーラル(ブルー系)×1群
斃死:ツツミウミヅタ
海藻類
生物種を豊かなにする目的と、栄養塩の吸収のために受け入れました。
●スタート時
ウミブドウ
●追加受け入れ①(種類を増やしたくて)
ホソジュズモ
●終了時の生存状況
生存:ホソジュズモ
斃死:ウミブドウ
その他
ライブロックに紛れて意図せずに受け入れていた生体が主になります。プランクトンや小さな動植物を入れれば、色々といるのですが肉眼で確認できる目立つ種をご紹介します。
●人知れずまぎれていた生物種
イソギンチャク類×1種1匹、ヒラムシ類×1種2匹、ゴカイ類×複数種、ヒトデ類×2種複数、ケヤリムシ類×複数種
●購入種
サンゴイソギンチャク×1匹
●終了時の生存状況
生存:イソギンチャク類×2匹(増えた)、ヒラムシ類×2匹、ゴカイ類、ヒトデ類×2種
衰弱:タマイソギンチャク×1匹(新モナコ式に移行後消滅)
斃死原因(生体の特性把握が重要)
モナコ式水槽内の環境は基本的には良好で、例えば、一般的な水質指標については問題のない低いレベルを推移できていました。しかしながら、それでも多くの死に立ち会うことになりました。
主な斃死の理由は7点あったと考えています。
- 受け入れ時の弱さ
- 病気の持ち込み
- 餌の嗜好性
- 飛び出し
- 混遊
- 照明の不適合
- 植物プランクトンの大量発生
斃死原因を大きく分けると回避不能の要因としては①、避けられた可能性の高い要因は人為的な問題として②~⑥、環境的要因が⑦になると考えています。
受け入れ時の弱さ
購入した生体を水槽内に受け入れてから直ぐに斃死した生体です。
1週間以内に斃死した生体は、輸送時のストレスや水合わせに堪えられずに死んでしまった弱い個体であったと判断することにしました。
●斃死生体
ヤドカリ×1匹、ヨウバイ×2匹
病気の持ち込み
生体特有の病気の持ち込みがあり、対処が遅れて死なせてしまいました。
カクレクマノミですが、通称カクレ病とも呼ばれるトルコディナ症です。受け入れ時に淡水浴等を行う必要があるようですが、この時は知らずに死なせてしまうことになりました。
●斃死個体
カクレクマノミ×1匹
餌の嗜好性
生き餌しか食べず、配合飼料への餌付けの難しさから死なせてしまった生体です。
生体の特徴をよく理解していなかったために対処が遅れてしまいました。キイロサンゴハゼは配合飼料への餌付けが難しく、アルテミア捕食のようです。対応が遅れてしまい白点病発症の後、衰弱死させてしまいました。
●斃死個体
キイサンゴハゼ×1匹
飛び出し
水槽の蓋の隙間からのジャンプ事故死です。
●斃死個体
ハタタテハゼ×1匹
混遊
生体の組み合わせが悪く、捕食される事態が発生してしまいました。ヤエヤマギンポを入れてから、あっという間にイソギンチャクモエビが食べられてしまいました。なお、一匹は恐らくニチリンダテハゼに捕食されているのを確認しました。
また、同種内でのカースト化によって、マンジュウイシモチ1匹が追い込まれて死んでしまいました。カースト化にしついては、個体の性格も関わるため運も含んでいます。
●斃死個体
イソギンチャクモエビ×3匹、マンジュウイシモチ×1匹
照明の不適合
サンゴイソギンチャクが白化して衰弱していったことから光合成に必要な照明の能力が適当ではなかったのではないかと考えている所です。
●衰弱個体
サンゴイソギンチャク×1匹(その後、新モナコシステムに移行して消滅)
植物プランクトンの発生
アサリ死滅後の植物プランクトンの大量発生にいより、海藻やサンゴの表面を覆ったことで光合成不足となり、消滅した個体がいます。
●斃死個体
ウミブドウ×1匹、ツツミウミズタ×1匹
おわりに
経験した斃死の原因については、育成環境としての問題というよりも、生体の適正を良く把握して管理すれば避けられていた問題であったと感じています。モナコ式の育成システム自体は、適切に管理出来れば、安定した育成を行えるシステムだと感じました。
ただ、例えば、アサリの死滅後の植物プランクトン大発生など、水槽がある程度大きければ変化も緩慢となり、避けられる可能性はあると考えています。
この辺は、小さな水槽の弱点と感じました。
とにかく生体の特性把握が重要です。
次回からは、モナコシステムの改良版の育成について紹介していきたいと考えています。
なお、12月24日現在、改良版のモナコシステムは、1年4ヶ月無換水にて継続育成出来ている状況です。
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